同級生
しごと終わりに
同級生のやっている店で食事をする。
ひとりじゃつまらないので
後輩を連れていく。
前菜をいくつか出してもらい、
おすすめのやつをお願いすると、
バーニャカウダというのが出てきた。
野菜を温かいソースにつけて食べるという、とてもシンプルな料理。
ソースがうまい。すごくおいしい。
見慣れない形の野菜もある。
地元の農協で手に入れるとのこと、地産地消。
おもしろい野菜を作っている農家があるんだな。
このソース、どうやって作るのかと聞くと、
アンチョビと、ニンニクと、オリーブオイルで作るという。
それだけで、こんな味になるのか?
閉店のあと、ちょこっと翌日の仕込みをして帰るらしいが、
みえないところで人知れず努力をしてるんだろう。。
人に喜んで食べてもらうための手間は惜しまない。
商売は、売るものの先に相手の顔が見えてないとダメだよと
同級生は優しく笑いながら言う。
バーニャ~、
カウダー!
言葉の意味はよく知らないが、
この料理は文句なしにうまい。それはよくわかる。
野菜の皿には、リンゴや金柑のスライスも入れてある。
濃厚なソースと果物と合わせると、
驚くほど相性が良く、爽やかなあと味がやみつきになる。。
おすすめを食べると、
平日なのにお客の多い理由がよくわかった。
もうひとつ、おすすめの
牛すじ肉のトロトロ煮。
後輩はこれをガツガツいっていた。
やはりこれもうまかった。
同級生、がんばってるな。
彼の料理にはもちろん満足したが、
彼のなにげない言葉にも強く胸を打たれた。
子どもの頃から小柄な友人だが
シェフの白衣を着ていると、いつもより大きく見えた。
仕事着が似合うというのは、とてつもない説得力があるんだな。