2019GW連休のバイク旅#2
2019年4月27日(土)のつづきから
東を目指して移動を開始したバイク旅の一日目。
距離を稼ぐために中国道E2Aに乗って行けるとこまで行く作戦。
どこまで行くのか、どうやって夜を越すのか、まったく考えずにスタートしました。
あとから考えてみると、この曖昧な目標設定が
この日のメンタルに反映されたようでした。
中国道を東へ走り出したまでは良かったのですが、
戸河内ICあたりを過ぎてから徐々に風が強くなりました。
前日に低気圧が東へ抜けたあと、西高東低の気圧配置になったと
ニュースで聞いていたのが思い出されました。
中国地方は気圧の狭間にあるようで、乾いた冷たい風が北から吹き込みます。
高速を走っているときに、強い横風が吹き込むので
荷物満載のバイクが煽られてハンドルが持っていかれそうになります。
車線を飛び越えるかと思うような横風にビビりました。
本格的に荷物を積んで長距離の旅に出たのはこれが初めてでしたから、
速度を控えめにしてみたところ、全然距離が稼げない...。
風に煽られると、体力も消耗していくもんで、
最初の給油と休憩を兼ねて大佐SAで止まりました。
岡山に入って新見を過ぎてからすぐのサービスエリア。
出発してから約300kmほど。
ガソリンタンクめいっぱい満タンから給油ランプが点滅するまで走ったので
まあだいたいこのくらいか。
アフリカツインのタンク18L、平均燃費21km/L程度なら
航続距離350kmまで行けそうだけど、
現実的な給油のタイミングは300kmが妥当でしょう。
まだ県境をふたつ越えただけなのに、
強い風のせいで、かなり気持ちが折れていることに気づく…。
焦ってもしかたないじゃんということで、
熱々のコーヒーを飲みました。冷えた身体にこれがよく効いたのよね。
あんまり冷えたので、バイクジャケット下に
ダウンベストを着こみました。
防風、保温装備を整えて、さあ出発と思っていたら、
2年ほど会っていない元後輩から、久しぶりに電話がかかってきました。
(このタイミングか~。戻り始めたやる気が…。)
「今何してるんですか?」と。
「いま岡山県の新見市あたりにおる。東北目指して旅に出たところなんよ。」
(言葉にしてみたら、なんか急に旅に出た実感湧いてきた~。)
「ええ?ひとり旅ですか?」
(驚かれると、なんか気持ちいいぞ。)
そうそう、バイクでひとり旅。連休全部使って旅する予定なんよ。
(風に心折られて、さっそく弱気が爆発したところじゃけどの。)
「そうなんですね。昨日まで雨だったから、大変ですね。私、いま福岡なんですよ。」
「そっちも出かけてるの?」
「いえいえ、福岡で暮らしはじめてですね...。」
(あれ、パートナーはこっちにおらんかったっけ?)
「そ、そうなん?知らんかった。」
「そうですよね、引っ越したのお伝えしてませんでしたもんね~。」
「......。」
(あ、これ、聞いてはいけないやつか?いや、最初に言い出したのは俺じゃないし)
「なんかそんなわけで、急に連絡とってみたくなったんですけど...。」
(どうする?この空気どうすればいいの?)
「そうなんか~、なんかすまんね~。おれ、北に呼ばれてる最中でね~」
(そう、オレは旅人。バイクが行きたいっていうから、と身を委ねている体で)
「わかりました。すみません~。急に。また連絡しますね~。」
「あ、うん。わかった。こっちこそごめん。連絡ありがとね~。」
なんだろうこの気分は。
曇りしかない世界に取り残されたような、薄らさびしい気持ち。
人生っていろいろな岐路があります。
元後輩の人生になんらか変化があったようではあるけど、
そっちはそっちでがんばれ。
私もこれから風と戦う旅が待っているのだ。まだ初日だけど。
気を取り直して、エンジンスタートして
走り始めると、さっきよりは幾分、風は弱まったのかな。
それとも、風に慣れたのか?防風対策が効いて、冷えが弱まったのもあるか。
休憩前よりペースがよくなった。
中国道E2Aを東進し続け、兵庫に入ったところで
この旅の最初の分岐がやってきました。
東北を目指すのに、どちらから回るかという問題です。
天気予報を見るに、西から雨雲に追いかけられる展開になりそうなので
晴れているうちにきれいな日本海を見ながら旅したい。
そんな気持ちになったので、
中国道E2Aには兵庫県で別れを告げて、吉川JCTから舞鶴若狭自動車道E27に入ります。
ここからは、兵庫の丹波篠山、京都の福知山を通り過ぎ、若狭湾を目指します。
吉川JCTから北に進路をとると、それまでの横風が正面からの風に変わりました。
風向きが変わると、それまでが嘘のようにバイクの挙動が安定しました。
丹波篠山を過ぎたあたりで午後1時くらいです。今日は走れてあと4時間。
その間に、今日の目的地を決めて、どうやって夜を越すかも考えないといけません。
いきあたりばったりの旅、初日は風にやられてヘロヘロです。
おまけに弱気になってますから、どこかで宿をとって、このあとのプランをじっくり考えたいと思いました。
さて、今日の宿はどうしようかと考えながら前進し始めると、
これまた不安になってくるのが、ガソリン残量です。
どこまでどのくらい走るのかを定めてないと、ガス欠が怖くてしかたない。
タンクマークは5目盛り中の3は残っていたのですが、
思わず給油と休憩したくなりました。
舞鶴若狭自動車道E27の
西紀SAでストップして作戦を練ります。
給油10L ペースアップしたので平均燃費は20km/L程度
前の給油から約200kmだから、燃費表示はほぼ正確です。
時刻は午後1時半、ここで考えた結果、
今日の現実的な目的地は福井県敦賀市あたりが妥当と判断しました。
これから夕刻に向けて距離を稼ぐよりも、今日は早く休んで今後のプランを練ったほうがいい。
宿を検索して、敦賀市内のビジネスホテルに予約完了。
安いビジホを探したけど、さすがの超大型連休価格9,000円近い割高な値段。わお。
西紀SAから敦賀まで約140km
給油して、検索して、宿予約して、休憩を済ませたら午後2時を過ぎたくらい。
順調にいけば2時間の距離ですが、
舞鶴から先はまた東進することになるので、きつい横風になりそう。
余裕をみて2時間半といったところかな。
目的地を決めたところで再スタートしたのですが、
ここからがまた泣きの入る区間でした。
舞鶴まではいい天気で快走できたものの、日本海の気まぐれな天気に翻弄され
小浜のあたりから強い横風とともに、横なぐりの冷たい雨が吹き付けます。
舞鶴若狭自動車道は、かなり標高の高いところを走る区間もあって
風に雨にと煽られながら走ることになりました。
雨の横風、おまけに高架の上を走るのはかなり怖かった。
強めの雨でバイザーの雨粒が切れず、視界が悪い上に夕方が近づいてくる。
最悪のコンディション…。
三方湖のあたりで下道に下りようかと思ったのですが、
さらに時間がかかるのもイヤだったので、そのまま高速で敦賀まで走り抜けることにしました。
敦賀市内に下りる近道なら若狭美浜ICで下りればよかったものの、なんせ初めて来るもんだから一つ先の敦賀ICまで行きますよね~。
さらに山の中で雨の高速を走ってから、敦賀JCTまでは結構な下りでした。
やたらに恐ろしい思いをして、やっと敦賀市内に到着。
市内に入るとなぜか雨は止んでいる...。
どうやら、初旅の洗礼を受けたらしい。
もう、体が冷え切っていたのでとりあえずは敦賀ICをおりてすぐの
敦賀きらめき温泉リラ・ポート(現在は休業中らしい)で体を温めました。
その後、薄暗くなり始めたころ宿へ到着。
予約が遅かったので、夕食はなし。
宿の近くに繁華街もない様子だったので、仕方なく近所のコンビニ(徒歩10分)まで買い出しに行くことにしました。
見るものすべてに「福井」「敦賀」と書いてある。当たり前ですね。
トヨタカローラ福井 福井トヨタ敦賀 ソフトバンク敦賀 カメラのキタムラ敦賀店
ところ違えど、見慣れた企業名はあるのね。
福井県の夜は山口県と同じように暗い。田舎はどこも変わらない。
とはいえ、山口から600kmも離れた夜の福井県敦賀市を歩くと、
自分が異邦人のような気がしました。
ここ、旅が始まってるぜ感だなとか思ってたけど、
コンビニで働く人や、地元の人が話すの聞いてみると、そこまで異質な感じがしない。
むしろ、まだ親しみがある雰囲気。
なんだ、そんなに遠くまで来たわけじゃないなと勝手に興覚めしてしまいました。
どうせなら、居酒屋でも探そうかと思ったけど、疲れた体が「うん」と言わないので、
福井敦賀の地元めしを探すこともしないで、この夜はコンビニ弁当とビールで終了。
味気ない。でも、いいのだ。旅に出てうまいものに出会えることは少ない。
とか思いつつホテルの食堂から、うまそうなカレーの匂いがしてなんだか悔しい気がしたのをよく覚えてます。
旅で味わう負け惜しみほど、寂しいもんはないね...。
さっさと寝てしまおう。
おやすみ、敦賀。
明けて
2019年4月28日(日)
泊まった部屋は東向きだったのか。
今日はどこを走るか。
それはもう昨日のうちに決めておきました。
目的地のないツーリングはどんどん不安になることがよくわかったのでね。
ひとまず、福井の海岸沿いを走りたいので、国道305号 漁火街道を北上して越前岬、東尋坊を目指すことにしました。
朝の5時には目が覚めてましたからね、6時には出発です。
朝飯はどこかで食べることにして、空きっ腹で発進しました。
さよなら敦賀半島。
あの裏側には確かもんじゅがあるんだったっけ。
そういえば、この旅はいたるところで原発銀座に出くわす旅でもあったな。
さあ、目指すは東尋坊。
勢いよく出かけたはいいが、かなり風が冷たくてグリップヒーターは最強のまま
走り続けました。
#3へつづく。