アユとアユカケ

アユカケという魚がいる。

日本固有種の魚だそうで、ダムや堰のない清流に棲む生き物らしい。

その名の通り、アユなどの川魚を捕食して生きているのだが、

アユのように泳ぎが上手な魚ではないので、

アユの目指す上流域まで遡上することは難しい。


山深い紀国熊野を流れる清流、古座川には「滝の拝」という場所がある。

古座川の中流に位置するのだが、川の中央には滝があり、

そこは遡上する川魚たちにとって「旅の難所」となっている。

魚たちの遡上を阻むほどの急流なのだが、

なんと、その滝のわきには、人のやさしさでできた魚道がつけてある。

昔から住む地域住民の手によって、岩を掘り抜かれてできた道なのだそう。

そこを通ってアユたちは、更に上流にある「魚の楽園」を目指すのである。


話を戻そう。

前述のとおり、アユカケという魚は泳ぎが不得意なため、

アユを追ってなんとか滝の拝までは辿りつくが、この先へはなかなか進めない。

泳ぎが不得手であるために、滝の急流はもちろん、魚道を上ることも容易ではない。

上流までアユを追いたくとも、そこまで辿りつくことができないのである。


アユカケという魚の見た目は、

頭でっかちの不恰好で見るからに泳ぎが苦手そうなのだが、

ピンチこそチャンス、弱点を逆手にとった能力を身につけている。

荒い流れの川底には、角の削れた丸い岩や小石がしきつめられているのだが、

でかい頭を岩に馴染ませ、体表面の色まで似せて、

みごと川底の風景と見分けがつかないほどに擬態するのである。


泳いで追えないのであれば、

体を岩に似せ、潜んで待ち伏せ、遡ってくる獲物を狩る。

誰が教えたわけでもないのだろうが、

自らの能力を見定め、それに見合った生活スタイルを築き上げている。

自然に暮らす生き物全般に言えることだが、

その生活方法は実に合理的で洗練されている。


超えられない壁に挑むことは、

古座川に棲むアユカケにいろんなことを教えたのだろう。

アユカケは超えられない壁に、

「壁を利用する」という知恵を教わった。

うまく早く泳ぐことへの努力をあきらめたわけではないのだろうが、

そこはどうひっくり返しても、アユの才能を上回ることができない。

アユカケは、自分とアユとの違いを熟知したような振る舞いをする。


「自分を活かす」とは、どういうことなんだろうかと、

古座川のアユカケに教えられる。。



などといった

イメージ 1

妄念で遊び疲れたアタマの中を

よく冷えた青島ビールで洗い流します。。


ピリッと辛いヤツ食べながら、

きゅきゅっとチンタオを流し込む。。

大根の唐辛子漬けみたいなやつ、真夏でも食べたいな。