部長でしたか。
8月12日(月)
しごとが終わって真夜中、
駐車場への最短ルートをとっても
6~7枚の扉を通過しなければならないのだけど、
扉をくぐるごとに気温が上がっていくのがわかる。
段階的なシェルター開放のよう。。
涼しい場所から外気温に戻るためのリハビリなのだね。
外に出る最後の扉を開けた瞬間、
ワタシの身体は羽毛に包まれてるんじゃないかと思うほど
温くてやわらかい空気にすっぽり囲まれている。
実に不快。。飲み屋を出たところで酔っ払ったオッサンに絡まれるような気分。
高温多湿で、おまけに薄暗い。
キノコ栽培用ハウスや、孵卵器の中って、こんな環境なのだろうかと想像してしまう。
しかしながらワタシはキノコではないし、ひよこでもな、、いや、ときにはひよこかも知れない。
真冬の餅まきがあれば条件は異なる。
とにもかくにも、夜くらいは涼しくあってほしい。
がらんと空いた駐車場で、
乾いた羽音がさらさら聞こえ、
路面にコトコトと殻を打ちつける音がする。大豆をゴザに落とすような軽い音。
こんな夜中に地べたでもがいているものあり。
オマエ、痛かろうよ。
羽根の動きは力無く、鳴き声も弱々しい。
おもわず拾い上げる。
クルマを置いた場所まで少しあるので、
そのまま一緒に移動する。
その間、久しぶりに手にとったセミの体を観察する。
なんと見事な造形か。流れるような甲殻のカタチと継ぎ目の処理に目を奪われる。
ミクロの決死圏に出てくるような極小探査船で、その表面をもっと間近で眺めたいと思う。
そんな船、もしできたら、見てみたいものはもっとある。
でも、操縦は難しそうだ。。やさしい吐息は嵐のようで、水滴ひとつが海なのだから。
クルマのへりまで来て、
こいつを植え込みのワキにでも放してやろうと手の力を抜いた瞬間、
植え込みの高いところめがけて勢いよく飛んでいく。
ワタシの手から抜け出す瞬間、みごとにオシッコまで引っ掛けていく。漏らした。。
ぶ部長でしたか。
ジジっ~ジジジっ~と、部長は飛び立って行かれた。。
ひとの力なんか借りなくても、最後は自分でケリをつけられるよって。
テメエの尻はテメエで拭きます。
それが、部長の残していかれたおことば。。さすが。
すいません、ワタシの手も拭いていってください。。
つづく