心を乱される

夜中に喉の渇きで目が覚める。

水を飲みたくて台所へ向かう。

明かりをつけるのがおっくうで薄暗い中を移動する。

目を凝らしても見えるわけはない。台風に備えて雨戸を締めているからだ。

ゆっくりと感覚に頼って移動する。

そこへねこさんが寄ってくる。

足元に触れるか触れないかというくらいの距離でいる。

飼い主は眠いのだよ。

案の定、ねこの脚を踏む。

猫なのに、踏まれたときは、ぎゃっー!と鳴く。

普段あまえる時の声は、全く別人の声をしている。もとい別猫か。

ねこさん、すまん。悪気はない。

眠い人間のそばに寄ってきてはいけない。



水を飲んで、ソファーに座る。

意識の半分は眠っている。何かを考えられる状態ではない。

座り込むとなかなか立ち上がれない。

そこへまたねこさんが寄ってくる。

懲りていない。

足元に座ってじっとこちらを見ている。

暗闇で何を見ている?

じっと見ていたかと思うとすーっと動き出す。

そして飼い主の膝を前脚で小突きはじめた。

どうやらあまえたいらしい。

踏まれたことはもう怒ってないのか。

しかたない。おいで、撫でてやろう。

下あごの白い毛を触られると、ご機嫌に喉を鳴らす。

ごろごろ。指に細かい振動が伝わる。


かわいい…。

心を乱される…。


もう20年以上の付き合いなのに、いつも新しく感じる。

わかっているのに100%ひっかかる。

すごい威力の罠だ。


昼間に出会うと、知らぬふりで寝ているのに、

夜中は狙いすましたかのような行動をとる。


思いつきの行動が主体のねこさん、

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今日もとぼけた顔で歩いている。

今年も夏を乗り切って食欲は旺盛、まずまず好調らしい。

さっき、バターをもらっておいしそうに舐めたところだ。

お腹も満たされたところで昼寝でもするらしい。

台風一過、いい天気になっている。